サビキ釣りの安全性について

ご存知でしょうかこのサビキ仕掛け。というかこの釣り針のこと。初心者ファミリーを対象にした釣り大会か、教室のために、主催の日本釣振興会が用意されたサビキ仕掛けを初めて見て(へぇ〜)と感心しました。

それがこちらです。

針先の少し下に円形の膨らみ(平打ち仕様)のあることがわかるかと思います。メーカーでは「こぶしアゴ」と名付けているようです。釣り針の特徴であるカエシ(バーブ)に代わって、この部分が針に掛かった魚を逃がしにくくする役割を果たします(針先はカエシのないバーブレス仕様)。この造りの最大の目的は、衣類はもちろん万一、針が指先などにざっくり刺さったとしても引っ張れば抜きやすいことかと。

一般的なカエシ付きの針がカエシの部分まで突き刺さってしまうと、抜き取るのは容易ではありません。そもそも、魚の口から簡単に抜けないようにする仕様なのですから。仕掛けの扱いに慣れていない人の安全を考えて、カエシのないバーブレス(スレ針)にすると、掛かった魚がはずれやすくなってしまう。そんなジレンマをアイデアで解決したサビキ仕掛け。個人的にはすごいと思うのですがどうでしょう。

近年、ファミリーに限らず、手軽さから、海釣りデビューは「サビキ釣り」という方はとても多いと思います。自身が手伝う釣り体験や教室といったイベントもサビキ釣りがほぼ100%といっても過言ではありません。そして、常々感じているのが、「サビキ釣りは思いのほか危険!」ということです。竿やリールの取り扱いもおぼつかない初心者の方々が最初から、7本針がぶら下がる長い仕掛けを思いのまま扱えるはずがありません。

釣り針を服に、ズボンに、スカートにひっかけたり、帽子を釣り上げるのはあたり前田の大騒ぎ。

抜こうにもカエシがじゃまして抜きにくく、力任せに引っ張って服などを痛め、ママ、おかんむり。

そのくらいなら、まだまだ笑い話なのですが、実際、釣り針が指先に軽く刺さり、ビックリして泣き出すちびっ子もいないわけではありません。そして、かつて参加協力していた釣り関係イベントで1度だけ、指先にカエシまでざっくりいってしまった中学生男子がいました。躊躇せず、ペンチで一気に引き抜き、大事には至りませんでしたが(時間が経つほど皮膚が収縮して抜けにくくなります)、相当焦りました。

「海釣り入門=サビキ釣り」、「サビキ釣り=簡単」なイメージですが、サビキ釣り=安全では決してありません。釣り針の数だけ危険が増すとも言えるでしょうか。ですから、釣り針に安全性を高める工夫がされているこのサビキ仕掛けには、個人的には目から鱗でした。問題は、釣具店で売られているのを見かけた記憶があまりないこと(いや、私が見逃しているだけの可能性もありますが)。釣りの世界の入口になることが多い、大手釣具チェーン店などは積極的に仕入れて、初心者とおぼしき方々にはぜひ、勧めていただきたいなと思う逸品と思うのですが、どうでしょう。

あと、小さなお子さんのいらっしゃるご家族でサビキ釣りに出掛ける際にはぜひ。

1892年創業の釣り針製造メーカー、株式会社 土肥富のブランド「マルト」製の「やさしいサビキ」。

円形の膨らみ(平打ち仕様)「こぶしアゴ」を備えた釣り針。これはパテントを取っておられるのでしょうか?釣り針メーカーだから取っていて当然かな?他の釣り針メーカーさんも「貫通性」や「釣獲力」などとともに「安全性」をバランスよく備えた釣り針という視点からも開発を進めていただければと願います。

MARUTO「やさしいサビキ」針数が5本なのも安全性が高いかも。
仕掛けが短く、お子さまにも扱いやすいかと思います。

今回は、そんなところで。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村